2010年3月25日木曜日
VON FRANCO
12年前、カルフォルニアはヴォンフランコ先生の家に遊びに行き、描いてもらった作品。コレを見るたび思い出すのが彼の仕事へのスタンス。50'sピンナップに出てきそうな奥さんにお茶を入れてもらい、彼の愛車やガレージ見学、雑誌じゃ解らない彼の哲学と歴史をご拝借。その筋では大物なのにフレンドリーだと感心しているのもつかの間、本題に入るなり『OK〜REO,じゃぁいくらの絵を書いて欲しい?』と。『えっ先に値段?金でクオリティーが決まるの?』と一瞬ひるんでしまった。『ARTはお金じゃない』なんて貧乏美学がどうしても根づいている日本人の俺はもちろん戸惑うわけで。しかし、よくよく考えてみれば、それが行き着く話。彼は金持ちの趣味で絵を書いている訳でもなんでもないし、それを生業としているのだから、当然。そんな事を瞬時に理解し、無理の無い値段を考え『じゃぁ何ドルで頼むよ!』と体験のしたことのない気持ち良さで商談成立。買う側の意識もそうだが、作る側も自分の作品に対してズバッと値段が決めれない日本の状況が目に浮かんだ。『俺なんかが作ったものなんて....』とか『値段じゃなくて気持ちの問題で....』『楽しければぁ〜...』なんて話から始まり、相手も微妙にソコを解ってるもんだから、そのまま見事商談成立する訳で...。謙遜で始まり謙遜で終わる。こんな状態で日本のARTシーンましてやサブカルチャーアートや個人レベルのモノ創りなんて根付かないのもうなずける。そっか、不満を抱いていた自分自身が小さな元凶なんだったんだと。ソレ以来、考えが変わったような、変わらないような...モノ作りを生業にしている自分は商談時、毎回この事が脳裏に浮かびます。